《視点》4年ぶりの入社式に学ぶ

2023/05/12 06:23 更新


 今春、4年ぶりに各社がリアルで入社式を行った。記者は小売企業数社の入社式に実際に足を運んだ。月並みな感想だが、やはりリアルは良い。桜色にほおを染めた新入社員たちの不安と期待が入り混じった表情はいつ見ても新鮮。ピンと張りつめた空気にこちらも気持ちが改まる。閉式し、緊張が解けたあとの余韻はなんとすがすがしいか。

 入社式で心を動かされる場面は、各社の代表あいさつにもある。希望や可能性にあふれる新たな仲間にかける言葉には自然と熱がこもる。一人ひとりに語りかけるように、丁寧に紡ぎだした言葉は感動を生む。

 記者が取材した企業で代表者が共通して語ったのは、失敗なくして成長なしというものだった。そのためには、主体性や恐れず挑戦し続ける心意気、失敗から学ぶ姿勢が大事だとそれぞれが説いた。

 長い社会人人生。自身の中に失敗や成功に基づく経験が蓄積されれば、ついそれに甘んじてしまい、創造や思考がおろそかになっていたということは往々にしてあるのではないか。何かに挑む熱量がだんだんと冷める場合もあるだろう。代表者の人生の先輩としての激励は、経験を積んだ社会人にも響く。時代も社会通念も常に変わりゆくなかで、個人も企業も現役である限り、成長や変化を止めずにいたいものだ。そんなことを一年の始まりに改めて考えさせられる。

(麻)



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