ある大手アパレルメーカーはコロナ禍でマスクが大ヒットした。当時はマスク不足で社会が揺れていた頃。どこもマスクは売り切れ。そんな時「社会に貢献したい」との一心で社員がゼロから開発したマスクはたちまちヒットし、ピーク時130億円を超える売り上げた。
それが直近の決算では2割以下に落ちた。会見で「マスクの売り上げが減ったことについてどう思うか」と経営者に聞くと、「(売り上げが無くなる)影響は大きい」としながらも、「今後も社会の変化に対応したライフスタイル商品、ファッションアパレルを提供していきたい」とシンプルな回答だった。マスク開発の中心メンバーの社員に先日会った時も、マスクの話は全く出ず、次に考えているライフスタイル商材の話を熱心にしてくれた。
誰しも成功体験にとらわれ、なかなか次の一歩が踏み出せないもの。常に前を見る姿勢は経営者も社員も素晴らしいと感じると同時に、自分もこうありたいと思った。
大型連休が明けると、新型コロナの分類が「5類」に移行する。コロナ禍からの出口は近い。マスクに代わる、次のヒット商品を楽しみにしている。
(森)