8月末から東京で開催された23年春夏のファッションウィークは、若者に人気の新進ブランドが多く参加し、フレッシュな盛り上がりを見せた。コレクション会場周辺に多く集ったのは、服好きの若者たち。ファッションに対する熱量が高く、純粋な憧れが伝わってくる。にわかに90年代をほうふつさせた。
表参道ヒルズ前でストリートスナップされていた男の子は高校生。デニムをはぎ合せたフレアパンツはお気に入りの自作だという。「ファッションが好きなんですね」と聞くと、「ファッションのことしか考えられません」ときっぱり。まっすぐな視線が頼もしく、ファッション好きの端くれとしてはうれしくなる。
他の会場では、母親に連れられた小学校高学年くらいの少年が、キラキラとした視線で誰かを探していた。お相手は、繊研新聞でも執筆する益井祐さん。大好きなインフルエンサーといい、「一緒に写真を撮ってください」とお願いする少年の顔は、緊張と喜びが相まった素敵な表情だった。
ティーンの存在が印象に残った今シーズン。若者の憧れがもたらす熱量は、大きな波を作り出す。ファッション産業が過渡期を迎える今、その力は大きな原動力になりそうだ。
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