《視点》逆境を糧に世界へ

2022/08/05 06:23 更新


 00年代に人気を誇った男性ダンスボーカルグループに最近ハマった。今夏のフェスで、共演グループは若手ばかり、観客の大半もそのファンというアウェーのなか、会場を魅了したという。反響はすさまじく、ツイッターでグループ名がトレンド入りしたほどだ。

 公開中の近年のミュージックビデオを視聴すると、確かに素人目にも日本でトップレベルとわかった。それほどの実力者が最近は耳目に触れなかったことを不思議に思い調べると、日本ではある時期から、業界のしがらみでメディア露出が激減したという。その後、海外進出し、今ではアジアを中心に人気が高い。国内では認知度が低いが海外で高い評価を受け、実物を目の当たりにした人々には言語や世代を超えて響く。どこか日本の繊維産地と重なって見えた。

 驚いたことに、メンバーは逆境に感謝していると取材で話している。実力を上げる努力の源となったそうだ。海外を知るからこそ、今は世界を見据えた楽曲を作り、日本の音楽業界全体を盛り上げようとしている。

 日本の音楽業界も最近は海外市場を意識し始めた。グループに時代が追い付いたのだ。業界全体が動こうとするとき、一つでも既に実績・ノウハウのある利点は大きい。日本の産業が一丸となって、逆境を糧に世界へ羽ばたいてほしい。

(稜)



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