上野の国立科学博物館で開かれていた「宝石・地球がうみだすキセキ」展を、会期終了間際に見に行った。予約制ではあったが、会場は大混雑。展示物を見るにも、並ばないとたどり着けない程の盛況ぶりだった。様々な歴史的背景を持ったハイジュエリー、紀元前の物から揃うアンティークリングのコレクション、四季折々の美しさを、グラデーションのパヴェセッティングで表現した現代の名匠「ギメル」のジュエリーと、見ごたえあるラインナップ。加えて、様々な貴石や半貴石のユニークな原石やルースの展示・解説も充実していた。
一見、お堅くなりそうなこれらの内容を、二ノ宮知子さんの人気漫画『七つ屋志のぶの宝石匣(ばこ)』と協業し、楽し気なオリジナルカットを随所に差し込むことで、親しみやすさも演出。宝飾好き、鉱物好き、漫画好きそれぞれに刺さる構成が、多くの人を招いたのだろう。
先日、あるブランド担当者に、大ヒットするアイテムの傾向を尋ねると「後で考えると、惑星直列のように、売れる複数の条件がピタっと合っていたことが多い」との答えだった。無駄に幅広くというのではなく、コアに響く要素が掛け合わされる。一アイテムに盛り込むのはなかなか難しそうだが、たしかにヒットの法則であるなと、展覧会も振り返りつつ思った。
(維)