中央最低賃金審議会が時給28円の引き上げを答申した。10月以降、実際どうなるかは現在行われている各都道府県の地方最賃審議会次第だが、これまでにない上げ幅になる。率直に驚いた水準だった。昨年は中央が引き上げの答申を見送ったから全国平均でわずかに1円上がっただけだったが、最賃引き上げに流れが戻された。
審議会で経営側は反対だったという。答申が出されると経済団体から不満が表明されている。コロナ下でもあり、支払いの重みが増すことにうなずけないのは当然ではある。とはいえ、多くの企業を苦しめていることに消費者の購買力の低下があるのは間違いない。安い物しか売れない、少ししか売れない要因として取材でよく聞いてきた。どこかで購買力を高める方向に進み直さなければならないのは気付いていたと思う。
時給で働く人が増え、最賃近傍で働く人も増えているから、最賃引き上げが自身の賃金に波及する層も広がっているという。最賃のかつてない引き上げは、本質的にはチャンスなのではないか。
月に20日、1日8時間働くとして28円上がれば月の収入は4480円増える。シャツの1枚でも買ってみようかとなれば何よりだ。
(光)