《視点》受注商売

2021/05/27 06:23 更新


 ランドセル商戦がヤマ場を迎えている。商戦は入学時期の前年の3月にスタートする。新入生の家族や祖父母はランドセルを求めて1年前には購入に動き出す。そのため、ランドセルは現在、大半が受注方式で販売されている。

 15年前まではランドセルは入学前の3カ月間の季節商品だった。セールでの駆け込み需要も多かったという。それが需要の早期取り込みに業界で動き、商戦開始が早まってきた。大手量販店などが積極的に需要喚起の宣伝を強めるなどしたほか、少子化の中で孫への贈り物としての商戦としても根付いた。今では1年以上前から〝ラン活〟という一大イベントになっている。

 メーカーは備蓄に頼ることなく、年間ビジネスとなり、生産も平準化、正価販売がしやすい環境になっている。比較的効率的な商売が成り立っている。生産し店頭に陳列した後に需要をつかんでいくアパレル業界の取材に慣れていると、こうしたビジネススタイルは新鮮に映る。

 とはいえランドセルも少子化で今後、実需の数量が減り続けるのは間違いない。競合は一段と激しくなっている。シェア争いに生き残るだけの商品力、販促力がさらに求められる。

(武)




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