《視点》入社式

2021/04/06 06:23 更新


 4月1日の朝、出勤の光景がいつもと違った。真新しい紺色がところどころに目立つ。今日から社会人になり、入社式に向かう人たちが朝の人混みに加わった。

 急激な感染拡大で昨年は多くの企業が入社式を中止したが、感染防止対策のノウハウが蓄積された今年は、ひとまわり大きな会場でリモートでの祝辞も取り入れながら入社式が実施されている。顔を合わせることは、つながりを実感するための第一歩。リアルの入社式で社員との結びつきを確認したいのだろう。

 ある小売業の入社式が記憶に残っている。壇上にトップが立つと新入社員が一斉に起立して胸ポケットから手帳を取り出し、メモをとりだした。もちろん事前の指示があったのだろう。一糸乱れぬ一斉行動には違和感も覚えたが、メモをとる習慣を入社式から推奨しているようで感心した。

 薄いメモでも積み重なれば分厚い蓄積となるように、成長は毎日のわずかな進歩の積み重ねだ。定年まで同じ会社に勤めたいという意識は薄れてきているとはいえ、入社式はキャリアスタートの第一歩。ここで感じたことをメモに残しておくと、いつか振り返った時に自分の成長を実感できるはずだ。

(原)



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