コロナ禍に翻弄(ほんろう)されて昨年は終わった。国内テキスタイル業界は、20年5月以降の操業の短縮・休業の状態が続いたまま新年を迎えた。店舗の休業や行動制限などもあってアパレル市況は厳しく、国内テキスタイル業界の昨年の生産高は1~6月の大幅需要減をカバーできずに通年では3割減というのが一般的な見通しだ。
かつて経験したことがないこの苦境下ではあるが、明るい芽が全くないというわけではない。ネット上で生地を売買する企業は堅調に推移しているところが多く、さらに一足先にコロナ禍から脱した中国アパレル業界はナチュラル系や複合素材などを中心に日本生地に対する需要が堅調だという。
国内を見渡すとホームウェアやアウトドアなどの分野は、厳しいファッション衣料に比べれば悪くないとされる。また、大ロットではなく短納期小ロットの生地需要も底堅い。
テキスタイルにとって厳しい経営環境だが、国内であれば比較的堅調な分野、そしてネットと海外市場という伸びる先への拡販が今年のポイントになりそうだ。
(浅)