《視点》「道の駅」前

2020/12/02 06:23 更新


 鉄道が走っていない地域なのに交差点の地名看板に「××駅前」とあるので驚いた。見回すと道の駅がある。鉄道駅ではないが、駅前には違いない。誕生してまもなく30年。道の駅は全国に広がり、その数は1000以上。運転中に休憩したくなると必ず立ち寄る。ただ、便利ではあるが、立ち寄るだけの通過点。そこを拠点にその地域を深掘りすることはなかった。

 マリオット・インターナショナルと積水ハウスは、道の駅に隣接してホテルを建設するプロジェクトを立ち上げた。ホテルがあればそこが目的地になるし、周辺観光の拠点にもなる。ホテルにはレストランも売店も設けてない。宿泊客を外に連れ出し、食事や買い物で地域との触れ合いを促す狙いだ。

 プロジェクトで開業したホテルはすでに7カ所。自治体では、宿泊客に新しい楽しみ方を提案しようと工夫を凝らしている。特に自然環境を活用したアクティビティーは多くの自治体が注目し、コンテンツ開発や利便性の向上に力を注いでいる。

 となれば、ここでアウトドア関連の需要が生まれ、「道の駅前」でアウトドア用品の販売が成立する可能性もある。物販の新しい立地としても注目される。

(原)



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