欧米から東京まで続いた21年春夏デジタルファッションウィークが終わった。リアルショーにしろデジタル配信にしろ、インパクトがあったのはブランドの考え方を反映した発表だ。これまでにない環境下だからこそ、伝えたいことは何か。発表する意義が浮き彫りになるシーズンだった。
デジタルショーは、新しい表現方法としてぐんと進化した。「プラダ」はシンプルなデジタルショーだが、モデルがカメラに目線を向けることでドキッとさせる。リアルショーではできない演出だ。デザイナー2人のトークセッションも幅広い層への発信を印象付けた。
「ロエベ」は演出に必要な様々なグッズをバイヤーやプレスに宅配して、五感に訴えかけた。デジタルをリアルとともに立体的に構成する内容だ。デザイナーによる「可能性は無限大、体験を楽しんで」という手紙にポジティブな姿勢を感じた。
あえてリアルショーを選んだブランドもある。パリで発表してきた「サカイ」は、小田原で新作を見せた。リアルが紡ぎ出すエネルギーとともに、あいさつに回るデザイナーの周辺には温かいムードが生まれ、つながることの大切さを感じた。
(規)