《視点》延命ではなく

2020/10/01 06:23 更新


 新型コロナウイルス感染が終息しない。ピーク時の営業休業は解消され、GoToキャンペーンなどで人の動きも出てきたが、ファッション業界への大きな影響は続いている。アパレルでは先物を仕入れない、バイヤーが展示会に来ないなど環境は厳しいままだ。

 経営悪化に、政府や銀行系などから助成金や特別融資などの政策が出された。通常より融資が受けやすくなり、活用する企業は多い。しかし、あるアパレルメーカーは「企業の延命に終わらなければよいが」と危惧する。

 もともとファッション業界全般はコロナ禍がなくても厳しい環境にあった。業界への融資審査基準も「一般的には厳しかった」と聞く。普段より融資が受けられ当面はしのげるが、何もしなければ2、3年後に窮地が待っている。まだ体力のある企業は「廃業」を選択する経営者も増えている。

 ファッションは笑顔や楽しい気分になれるなどの力があると思う。延命ではなく、これを機に、既成概念にとらわれない企業の再構築やビジョンなどに取り組み、今後を明るいものにしてほしい。

(伸)



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