《視点》掃除

2020/09/24 06:23 更新


 「ごっそり」はもうける時に使うと品がなくなるが、取る時に使われると何か魅力的に思わせる。汚れだとか老廃物だとか、いらない物をごっそり取る時、快感を覚えることは少なくない。ゲームの世界でも押し寄せる敵の大軍を一瞬に一掃する「無双」人気はこうした快感が生んだものだろう。

 世の中には一掃したいものがたくさんある。しがらみなどはその代表格だが、たいていは散乱していて、なかなか一カ所に集めて処分するのは困難だ。ならば要らないもので集めやすいものは何だろう。

 ファッション産業の大きな課題として過剰生産に伴う大量廃棄の問題がある。食品ロス同様、販売機会を失うことを恐れ、需要量以上に物を揃えようとすることで生じる。

 処分に向かわざるを得ない商品、イコール不良在庫が一掃できれば、肉体的にも精神的にもすっきりするだろう。同時にその必要をなくす生産計画や在庫調整に向かう知恵が生まれだしたことに、何か気持ちが明るくなる気がする。

(樹)



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