PPIHは、現場の権限をさらに強め、地域に密着した支社制度で環境変化に挑む。「支社長に上司はいない」(吉田直樹社長兼CEO=最高経営責任者)と、地域を任された支社長がドン・キホーテやUDリテールなど企業の垣根を越えて地域での店舗運営の大きな権限を担い、責任を負う。成果報酬も明確だ。複数年、結果を出し続ければ役付役員の報酬を上回るケースもあるし、下位20%のグループに沈めば交代を余儀なくされる。
国内小売業の事業環境は新型コロナを機に様変わりした。同社も例外ではなく、6月期の決算は増収増益を確保できたとはいえ、今期はインバウンド(訪日外国人)売り上げの消失、420億円のマイナスを抱えてのスタートとなる。それでいて目標値は増収増益。スタートラインを後ろに下げて、なおかつトラック1周を同タイムで走ろうというのだ。その目標達成に向け、徹底した個店主義、現場主義で店舗を見直し、走力を鍛える。
変化への対応は、その予兆を見つけることから始まる。萌芽のわずかな土の膨らみは、毎日、店頭に立つことで見えてくる。消費者の行動が大きく変わりつつある今、個店視点が変化への対応力を磨く。
(原)