《視点》久々の成功体験

2020/08/14 06:23 更新


 テレワークが浸透し、ビジネスパーソンのカジュアル化がさらに進む。家でネクタイを締めたりシャキッとしたシャツを着るのはこれまで以上に違和感があるし、楽な格好に一度慣れるともう戻れない。強烈な暑さも加わって、お堅い企業でもカジュアルの許容範囲がどんどん広がる。街によっては、スーツにシャツ、ネクタイ姿は、もはやコスプレイヤーのようにも見える。

 需要減は避けられず、シャツ・ネクタイメーカーは新事業への挑戦が活発だ。あるシャツメーカーはこの春夏、アルコール消毒液を大量に仕入れ、小分けに瓶詰めして10万本売った。店舗向けの土嚢(どのう)なども開発して、ウィズコロナ時代の店舗運営に必要な商材をシャツと一緒に提案したという。別のネクタイメーカーは、3月からマスクの生産にかじを切ると、百貨店の紳士雑貨売り場からの引き合いが急増。「これほど売り場に必要とされたことは今までなかったかもしれない」と苦笑いする。

 思えば、シャツやネクタイはコロナ以前から苦境に立たされていた。両社とも「コロナ禍をきっかけに、新しいことに挑戦して、成功体験を共有できたことは大きな財産。社内の雰囲気もガラッと変わり、本業の改革も進めていけると団結につながった」と前向きだ。

(藤)



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