現在のコロナ禍では、アパレルの過剰在庫問題とともに、店頭の販売員の雇用問題にも焦点を当てていく必要がある。大手から中小・零細の企業まで、緊急事態宣言下で店舗の休業を余儀なくされ、自宅待機や、なかには契約を解除された方も多い。さらに、業績悪化の影響で店舗を縮小する動きが強まり、大量の解雇や学生の内定取り消しなども起きている。さらなるEC強化も進んでいる。
それでも、引き続き販売員の採用状況は厳しいようだ。アパレル企業からは商業施設や百貨店の営業時間の短縮や休日増を求める声がある。むろん、こうした改善は必要であるが、一方で賃金などの改善も必要だ。販売職の平均年収は20代で300万円前後に過ぎない。これでは、条件のよりよい業種に人材が流出しても仕方ないのではないだろうか。
常に雇用や生活の不安を持ちながら、対面接客で感染への不安も加わる。待遇全体の改善なしには、今後もますます販売職の確保はままならなくなる。専門職としてのスキルアップを含めて、今こそ業界全体で取り組むべき課題だ。
(矢)