《視点》ネオエレガンス

2020/07/17 06:23 更新


 先日、世界最高峰の素材見本市プルミエール・ヴィジョンの日本代表トレンド委員を務める池西美知子さんを取材し、印象的だった言葉の一つに「ネオエレガンス」がある。ファッショントレンドではエレガンス回帰が言われているが、「過去返りではない」ということだ。

 プレタポルテのコレクションで、スポーツやワーク、ミリタリーといったユーティリティー(実用性)を背景にしたトレンドが長く続いたことは、本紙報道の通り。この数シーズンは徐々にエレガンスに移行し、20年春夏を最後に影を潜めた。しかし、素材では「アクティブな考えの物作りは消えない」という。たとえば、合繊のビジネススーツ。きちんとして見えて軽く、伸縮し、しわになりにくく、洗える快適さが受け、市場にすっかり定着した。

 今後、アクティブな素材は、ますます広がるのではないか。数カ月にわたる自粛生活やテレワークで、楽な服ばかり着てきた人たちが、これから重く堅苦しいジャケットや窮屈なドレスを買うだろうか。エレガントなスタイルに外れない品のある見た目と、着心地の良さにつながる機能を兼ね備えた素材が求められるはず。日本の機能素材は、世界をリードしてきた。腕の見せどころだ。

(侑)



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