《視点》蔑視とリスペクトの間で

2020/06/08 06:23 更新


 この光景を何度見てきたろうか。白人警官が黒人の市民をいためつける米国のニュース映像を見て、ため息が出た。キング牧師が率いた公民権運動は50~60年前のことだが、いまだに根深い黒人差別について思い知らされる。全米に広がる抗議の炎は、長年の彼らの苦しみを表している。

 ジャズ、ブルース、ソウル、ファンクといった数々の音楽や、プロバスケのNBA――黒人たちが生み出し、担ってきたこれらの米国カルチャーは、自分にとって今もあこがれである。

 ファッションの世界でも、ヒップホップをはじめとした黒人のスタイルは大きな影響を与えてきたし、ファッションアイコンも多くいる。

 蔑視とリスペクトという両極の中で米国の黒人たちは生きてきたが、現実は過酷だ。パンデミックは人種に関係なく人間に襲いかかるが、ニューヨークなどでは黒人やヒスパニック系の新型コロナによる致死率が他の人種よりも高いとのデータが示されている。これも新型コロナによって浮かび上がった世界の一面だ。

(恵)



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