《視点》EC比率60%超!?

2020/05/18 06:23 更新


 新型コロナウイルスによる外出自粛前に、DtoC(メーカー直販)ブランドを仕掛けて成功するディレクターに、コロナ対策を取材した。ここの主力ブランドの販路はECと実店舗で、EC比率30%台。実店舗は休業となったため、ECで何とか耐える状況だという。これからの生き残り条件を聞いたところ、「全社売上高に占めるEC比率が60%超えが基準になると思う」と話した。

 ECは店舗より経費負担が少なく、粗利益が高いので理論としては分かりやすい。しかし60%超という数字は、売上高が低い企業だとさほど難しくはなさそうだが、売上高が1000億円ある小売業だと、600億円をECで売り上げることになる。

 現在のファッション小売業・ブランドのEC比率は、実店舗主軸ながらデジタル施策を積極的に進めている企業で20%以上に達したところが増えたが、高くても40%台。しかも数としては多くない。60%以上となると、ECもしくは通販からスタートした企業。これから企業の構造改革は必須になってくるだろう。

 専門店の月次売り上げを見ると、4月は軒並み前年同月比60~80%減と苦しい。実店舗のいち早い開業が待たれる状況だが、アフターコロナを見通すと、ECと実店舗を組み合わせた収益構造改革を再考すべき時代が来た。

(疋)



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