僭越(せんえつ)だが、毎年この時期にある大手企業の新入社員向けセミナーの講師をさせてもらっている。入社した企業の強みや弱み、同社が属している業界の課題などを紹介し、これから仕事をするうえで参考にしてもらうのだ。
いつもは1時間ほど話をし、数人から質問が出され、その後、次のプログラムに進むパターンが多い。今年は違った。
次から次へと手が挙がり、まったく質問が途切れない。問いもよく練られていて、さらに自説まで持つ人が多かった。正直、その積極性に圧倒されてしまった。
思うに、新型コロナがもたらした劇的な情勢変化が危機感となり、彼・彼女らの向学心・向上心に火をつけたのではないか。平素とは異なる事態に生き残る術は。会社が進むべき道は――。新入社員なりに悩んだのだろう。
確かに今は、どの企業にとっても危機だ。簡単に答えが出る局面でも無い。しかし、こうした状況だからこそ、吸収力の高い若い人ほど伸びる可能性が高い。新入社員の活躍を信じている。
(潤)