《視点》国産のブランド価値

2020/04/22 06:23 更新


 靴とファッションのECサイトを運営するロコンドが、浅草の婦人靴卸、サン・トロぺの過半数の株式を取得することになった。目的の一つは、国産のハイヒール「セヴントゥエルブサーティ」の高いブランド価値だ。「うまく掛け算することで、自社ブランドを長期的なブランドとして作れるのではないか」と。そこに疑問が残った。

 このブランドの魅力は、8センチ、9センチヒールの高さを感じさせない安定感のある履き心地だ。クリエイションの力と、浅草の中でも熟練の靴職人の物作りが一体になってブランド価値を作り上げてきた。以前は、多くの百貨店婦人靴売り場や専門店で購入できたが、マーケットの縮小とともに、取扱店が主要都市に限られるようになった。この数年、ECで検索のキーワードに挙がるのは、身近に手に入らないけれど欲しい、必要だと思う女性が全国にいるからだ。

 実直な物作りに支えられた履き心地は、何物にも代えられない、投資する価値があると支持されていることを心得て「掛け算」して欲しい。

(渉)



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