「水の話を持ってきてくれないかと言われるんです」と、ある関係者。何のことかと一瞬耳を疑ったが、アパレル企業から、ウォーターサーバーのビジネス案を持ってきて欲しいという要望があるという。
ウォーターサーバーは日常的に使用するため毎月安定した収入が見込め、一度使えばなくてはならないものとして解約率も低い。裏を返せば、アパレル製品は大半がなくても困らないもので、天候など外的要因に大きく左右され、収入は不安定。過剰在庫に苦しむ現状から、ウォーターサーバー案が浮上したようだ。
アパレル企業の脱アパレル化はよく報じているが、あくまで飲食や美容、インテリアなどのライフスタイル提案や異業種へのノウハウの提供、アパレルの顧客層へのコト提案など、蓄積してきたコンテンツを生かしたビジネス開発に目が行きがちだ。
しかし、それができる企業は一握りで、多角化できるコンテンツを持たず、アパレルと全く関係ない事業で会社を立て直したいと思っている経営者も多いだろう。後者の苦しみにもっと耳を傾けなければならないと思った。
(金)