新型肺炎の感染拡大に伴い日常生活が様変わりした。マスクを求めて頻繁に薬局へ通い、今後に備えて節約に努める。感染予防のため不要不急の外出を控え、人ごみを避けるようにもなった。イベント参加や旅行は延期や中止に。ファッション商品は二の次となり、買い物時の優先順位は低くなった。
しかし、こんな時でも人々の〝おしゃれ心〟は残っていると信じたい。思い出されるのは、11年にNHKが放映した、コシノ三姉妹の母をモデルにした朝の連続ドラマ「カーネーション」だ。
戦時中に国民の着るものが制限され、女性はモンペの着用を義務付けられた。そんな中、洋裁店を営む主人公・糸子は、きものの生地からモンペを作り、きものに戻せる方法を思いつく。上等な生地で鮮やかな柄のモンペは瞬く間に話題となり、糸子のモンペ作り教室は大盛況に。街にはおしゃれモンペをはいて歩く女性が増えていく。
暗いムードが漂う中でも、おしゃれへの渇望は沸き立つもの――。そんな真理を信じて糸子のように商魂たくましくありたい。
(潤)