《視点》画期的な素材

2020/03/12 06:23 更新


 合繊など川上分野を取材していると、時折とても画期的な素材に出合うことがある。例えばユニチカが開発した樹脂のポリ尿素は、植物由来原料と二酸化炭素からだけで作り出され、重量の20~30%もの二酸化炭素を固着させられる。ナイロンに似た物性があり、繊維にすることも可能で、まさに社会課題の解決につながる優れた素材だと感心した。

 しかし開発から10年近くが経過するが、今のところ製品として世にはまだ出ていない。発表した11年当時は今ほどサステイナビリティー(持続可能性)への関心が高くなかったこともあるが、他社でも同様のケースでネックになるのがコストとの兼ね合いだ。

 「魅力的だけれど高くて使えない」という客先の反応は、新しい素材を広げようとする際に必ずといっていいほどぶちあたる壁だ。これに対し「それを乗り越えるのは粘り強い企業努力」というのが今までの模範解答。

 だが今の時代は情報が世界をかけ巡り、評価する消費者(生活者)がいれば資金的な後押しや拡散もしてくれる。ポリ尿素も遠くない時期にきっと商品化されると期待している。

(恵)



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