《視点》they

2020/03/06 06:23 更新


 米国の著名な辞書が選ぶ19年の「今年の言葉」に「they」が選ばれた。中学生のときに「彼ら・彼女ら」という三人称の複数代名詞と教えられた基礎的な単語だが、その使い方や概念は変化してきたようだ。

 theyが選ばれた背景には、男性・女性以外にもジェンダーの多様性が認知されるようになってきたこと。「he」でも「she」でもない第三のジェンダーを示す単数代名詞として、theyの使用が普及してきたという。「theyは複数形」と染み付いている身としては違和感はぬぐえないが、なるほどとも思う。「Mr.」「Ms.」などの代わりに、第三のジェンダーを示す呼称として「Mx.」も使われるようになっているという。

 日本語では第三者の話をするときに「佐藤さん」などの苗字や「店長さん」などの肩書を用い、性別を特定しなくとも話を進めることができる。ジェンダーの多様性への配慮という意味では便利な言語かもしれないが、ジェンダー表現の議論に鈍感になりがちかもしれない。

(壁)



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