《視点》中国の存在感

2020/02/21 06:23 更新


 「今年は間違いなく厳しい年になる」。そう話すのはイタリアのあるテキスタイルメーカー社長。今月上旬に開かれた国際素材見本市で取材した時のことだ。いつもどこか楽観的で明るい調子が一転、苦渋の色が見て取れた。理由は、新型コロナウイルスによる感染の拡大だ。

 中国への生地売りは、さほど多くない。問題は「主要顧客であるラグジュアリーブランドの売り上げが落ちる」ことだ。高級品市場はこの間、中国への依存度を高めてきた。このまま中国の消費が減退し続ければ、ブランドは生産を縮小せざるをえなくなる。当然、生地の販売量も減る。

 生産地としての存在感も大きい。それは、中国で生産している企業だけではない。ある大手毛織物メーカーは、紡績から染色、織り、仕上げまで全て自社工場と近郊の協力工場で一貫する「メイド・イン・イタリー」を掲げるが、使う薬剤は100%中国製という。現在は在庫でまかなえているが、新型肺炎の影響が長引けば「大打撃」だ。

 販売、生産の両面で、中国依存度の高さとそのリスクが露呈した。生産ではすでにトルコを活用するなど、サプライチェーンを見直す動きがある。

(侑)



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