《視点》マジックワード

2020/02/18 06:23 更新


 サステイナビリティー(持続可能性)への関心が高まっている。本紙でも目にしない日はないくらいだ。真剣に考えようというムードが広がっているのは喜ばしいことだし、行動するべきだと思うけれど、少々気になるのは言葉の乱用だ。

 サステイナブルと言うだけで、なんとなく今っぽく、良いことをしている風に聞こえるマジックワードになってしまっていて、本質を見失っているのではと思う時がある。

 先日取材した根強いファンを持つあるブランドは、市況が厳しい時も絶対に前年を割らないように課しているという。それが仕入れ先に対して大事なことだと。トレンドではないアイテムも、販売スタッフが工夫をして売る。そのために、直営比率と正社員にこだわっている。逆に、どんなに売れる商品でも、いきなり増産することはしない。工場の生産が安定しなくなるから。工場が続くことで、商品を売ることができるというわけだ。サステイナブルのサの字もうたっていないけれど、その事業運営はそのもの。

 何かを変えたり新しく始めるだけではなく、今まで積み重ねてきたことを愚直に続けることも、立派なサステイナブルではないだろうか。

(佐)



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