《視点》黒船

2019/12/20 06:23 更新


 「黒船ですね」と、この間相次いで宝飾関係者から耳にした。警戒しているのは、海外の大手オークションハウスの動向だ。複数企業がここ数年、日本に攻勢をかけ、顧客開拓を進めている。ちなみに記者にも、仕事柄か最近ターゲティング広告が入ってきた。

 日本では宝飾品の2次流通は質流れのイメージもあり、富裕層が積極利用することは少なかった。しかし近年、メルカリの成長などを背景に抵抗がなくなってきたようだ。元ゾゾ前澤氏のオークション利用の話題がお茶の間をにぎわし、憧れや身近さも出てきたかもしれない。実際この1年、日本人による高額品の売買実績が増えたとするオークション関係者の声も聞いた。日本はバブル期に購入された極上品が眠る宝の山でもある。

 ただし、ターゲットとなる富裕層は百貨店の外商顧客や、宝飾催事の顧客と重なる。売り買い全て海外オークションとなれば影響は甚大だ。「これまでは売るのみで、商品を循環させるというお手伝いをしてこなかった。自社でできるケアをしたい」との動きも出ている。

(維)



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