「ただ物を売るだけでは買ってもらえなくなっている。作り手の意図や姿勢を消費者に知ってもらう努力が大事」とは、あるインポートブランドのクリエイティブディレクター。ファッションだけではなく、ファッションを取り巻くアートや食などを取り込む柔軟な視点を持たなくてはと。
毎シーズン、彼女が自身の趣味でもある旅行や、その旅先で触れた自然やアートにインスパイアされ、コレクションを作っている。先日展示会に行ったら、旅先で撮りためた写真を一冊の本にまとめたと見せてくれた。どんな街並みや土地の暮らしを見てコレクションができたのか、ブランドをより深く知ってもらうきっかけになればという。
「商品を売る前にストーリーを伝えたい」という声はほかでもよく聞く。消費者の企業への関心や共感が、今の時代のビジネスの要と考えているようだ。
SNSが日常になり、情報過多の今、消費者は安心を求めている。ECでいつでも簡単に物を買えることで物の価値も揺らいでいる。消費者の不安を少しでも拭い去るために、まずは歩み寄ることが必要かもしれない。
(麻)