「変わらず経営は厳しいですね」があらゆる取材先の常套(じょうとう)句になっている。ただ数字だけの話ではなく、なんとなく業界の閉塞(へいそく)感が体感として染みついてしまって、実際はさほど業績が悪化していないのに、つい消極的な発言をしてしまっている。そんなことを思うこともあるのだが。
そんな中で、打開策は新商品の打ち出し。例えば子供服は機能素材の強化や、新規販路の開拓といった声をよく耳にするが、気になるのは企業価値やブランド価値の向上といった声だ。
最近取材した子供服専業の社長も「専業として蓄えてきた知識や培ってきた技術を生かし、専業だからこそできることをしていかなければ」「デザイナーや企画、営業などが持っている技術を取捨選択しながら価値を磨いていかなければ」と口々にしていた。
市場は絶えず変化している。消費者を取り巻く環境が変われば、需要も変わる。今、どのようになっているのか。何が求められていて、何をするべきで、そのために何を伸ばして、何を縮小するのか。軸はぶらさずに、常に進化し続ける姿勢を改めて見直す時期なのかもしれない。
(麻)