《視点》変わる覚悟

2019/07/26 06:23 更新


 自分はネクタイをする機会が少ない。もはやかしこまった場面でしか着用しないといってもいいぐらいだ。

 カジュアル化が進んだ、クールビスが浸透したなど理由は多々あるが、要はネクタイをしなくても違和感がない状況の方がはるかに多くなったのだ。

 かつて百貨店はネクタイ売り場に大きな面積を取り、ネクタイ専門店も多く存在していたが、どれも縮小の一途をたどった。だがそれらは知らないうちに進んだものではない。使用者が減っていることを知りながら、それに代わる新たなビジネスモデルを見つけきれずに失われていった企業は、少なくない。

 国民の嗜好(しこう)や生活様式の変化は市場と連動する。変化に気付きながら、対応に後れを取ることがいかに危険なことか。世に評論家めいたことを言う者は多くあれど、生き残るとは変革を具体的に実行に移すことなのだ。変われない理由を羅列する時間は、変わるための時間を失わせる。変革は覚悟と決断の速さが成せるものなのかもしれない。

(樹)



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