《視点》出来ない理由

2019/07/12 06:23 更新


 「天気のせいにする社員はいなくなった」。あるアパレル経営者が言っていた。その会社の営業会議では、かつて営業の現場から服が売れない理由に「雨が降ったから」「冬なのに気温が高くて」と天候要因が挙がっていた。それに対して、その経営者は「じゃあ、その(担当している)店の周りだけ雨が降ったのか?その店の地域だけ暖冬だったのか?」と問い続けてきた。売れない理由に天候を挙げる社員は、最後にはいなくなった。

 服の売れ行きに天候要因が全く関係ないとは言えない。体感気温差で購買意欲は上がったり、下がったりすると言われているし、傘や帽子など天候が直接的に影響する商品もある。

 ただ、その経営者は「雨が降っても元気な店があるだろう。そこを見ろ」と言いたかったのだ。「出来ない理由」を挙げれば、いくらでもあるし、逃げ道は簡単に作れる。だが、考えてみると何かを成そうとするときに、いつも万全の環境に置かれている方が珍しい。物事の見方、捉え方次第で打開する方向が見つかることも少なくないだろう。記者も耳が痛かった。

(森)



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