19~20年秋冬レディスの注目トレンド、BCBG(ベーセーベージェー)やトラッドと80年代について、その時代を知る人たちと展示会などで話になる。あるデザイナーは80年代風のデザインを「どうすればそうなるか、私たち世代の得意分野」と言っていた。ずっと服作りを続けてきた人たちには、カッティングからディテールのテクニックまで80年代はお手のもの。ちょっとうれしそうだ。
とはいっても、今の気分にどう引き寄せるかが問題。ここ数年のトレンドでビッグシルエットには慣れたが、肩はむしろドロップショルダーだった。80年代風の鍵になる大きな肩のデザインはマスには難しい。これまでよりも少し大きめの肩のジャケットを出したブランドもあったが、展示会ではスカートのワンボックスプリーツ、パンツのサイドシームのパイピング、タックパンツやミドリフトップなどが目立った。
今の時代、力まない〝抜け感〟は外せない要素だ。80~90年代のデザインは、着るのに体力が必要なぐらいのパワーが魅力だったのだが。そんな頑張らなきゃいけない服は、もうヒットすることはないのだろう。
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