遠慮や忖度(そんたく)をしない子供の純粋な指摘が、大人女性のおしゃれへの姿勢を奮い立たせることがある。
先日、とあるジーンズ店で、バレエダンサーとして活躍しながら小学生から高校生にバレエを教えている若い女性が高額ジーンズを買ったところに出くわした。記者が店長と「客はどんなきっかけで高額ジーンズを購入するのか」を話していたとき、「彼女はウチのジーンズを愛用してくれ、裾上げしたのを取りに来た」と紹介された。
この店で販売するジーンズは2万~5万円台。様々なジーンズが存在する中で、ここで購入する理由を尋ねると、「着心地、はきやすさ」に「子供の目」と答えてくれた。
バレエ練習後に着替え終わると、先生と生徒でおしゃべりに花が咲く。やはり女性同士は年齢問わず、おしゃれ談義になることが多いようで、子供らは彼女の私服を「似合う」から「安っぽく見える」まで遠慮のない指摘をしてくるのだという。バレエに通う子らの美意識は高く、子供に大人の懐事情への理解はないので、「出費だけれど、背筋を張れている」と笑った。
最近、世間は急激に見栄えへの関心が薄まっているが、美を追い求めるコミュニティーでは、服が果たす役割と価値は大きい。
(疋)