《視点》熱い思い

2018/11/02 06:23 更新


 「世界の共通言語は情熱」とは建築家の安藤忠雄氏。何年か前に放送されたテレビ番組でのインタビューの一場面を今でも記憶している。

 安藤氏は、代表作である住吉の長屋(大阪市住吉区)にはじまり国内外に多くの建築物を残している。その数々の功績はもちろんだが、一度は志したプロボクサーの道に挫折し、独学で建築を学んだ異色の経歴でも有名だ。生来の才能もあったのかもしれないが、建築への強い思いが世界的建築家にならしめたのだろう。

 記者は最近、ベビー服・服飾雑貨のメーカーを取材した。その企業ではスタイが売れていて、売り上げの半分をECが占める。だが今期は実店舗が健闘し、それを支えたのは「ブランド愛」という。「ブランドがとにかく大好きでお客に魅力を熱く語れる店舗スタッフが多くいる」。子供がいない若手も熱心に勉強し、ママの立場で商品を提案して来店客の心をしっかりつかんでいる。

 社会では常に結果が求められる。それには論理的な思考やそれに基づく戦略が必要。しかし、自分が本当は何にひきつけられて、何がしたいのか――その熱い思いが大きな原動力と可能性になることも忘れずにいたい。

(麻)



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