学生時代に働いていたコンビニエンスストアは、客が多い地域一番店だった。人手不足も重なり、客をさばくので手いっぱい。そんな多忙な時に来た宅配便は受け付け後、バックルームに投げるように置くスタッフが少なからずいた。
先日それを思い出す光景に出くわした。あるアパレル企業を訪問したときだ。2階から1階に荷物を複数投げ落としているのを見た。落ちてきた荷物には伝票が貼ってあった。その企業は消費者にEC販売している。今考えると、ネットで売れた服では…との思いが脳裏をよぎる。もちろん断言はできない。
その光景が、映像として世間に流れるとどうなるか。数年前、大手宅配会社の社員が荷物を地面にたたきつけている姿を一般人が撮影し、動画としてネットに掲載。社会問題になり、謝罪に追い込まれた。
ネットに一度流出して、消せなくなった書き込みは「デジタルタトゥー」と呼ばれる。どんな事情があったにせよ、一度拡散された情報は半永久的にネット上に残る。事の重大さをトップも現場も理解する必要がある。いや、そもそも物を投げるのはやめよう。
(森)