《視点》食欲の秋

2018/10/10 06:22 更新


 記録と記憶に残るであろう出来事が多かった夏が終わり、秋がやってきた。秋だからというわけではないが、最近は飲食店の勢いを強く感じる。

 休日を利用して、この間に開業した商業施設を訪れた。一つは「渋谷ストリーム」。衣料品店は一つもなく、飲食店ばかり。土曜の昼に長蛇の列を作っていたのは、日曜朝の情報番組で取り上げられていたジュース店やスペイン料理店、ビアバーだった。

 もう一つは日本橋高島屋SC新館。訪れたのは開業後初めての土曜夜。小雨の降る閉館間近とあって、人が少ないかと思ったが、館内はにぎわっていた。この時間も行列ができていたのは、パン屋「365日と日本橋」だ。都内の人気ベーカリーのようで、当日は一時完売し、急きょ焼き足して販売したという。同館は注目のファッションテナントも多いが、私が訪れた時間帯の勢いは、このパン屋が一番だと感じた。

 服と食を比べると、人気で話題性のあるものは、食の方が手頃な価格で楽しめてしまう。必然的に飲食店の方が来店価値も上回る。そのなかにあって、服はどんな価値を提供できるのか。頭を悩ますところだ。

(友)



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