《視点》地方でコト発信

2018/09/21 06:23 更新


 「ここにしかないスポットで行うコト発信は、東京の有名店で行うポップアップより効果が高い」。PRエージェント4Kの河村充倫ディレクターのこの言葉、ファッションビジネスの今後のヒントを秘めているような気がする。

 象徴的な事例として挙げられたのは、シューズブランド「キーン」を販売する地方店でのプロモーション。登山家が集う長野の店でイベントを開催したところ、本当にそのブランドを見たい、知りたいと思っている人が集まった。適格な場所で行う企画に、ファンの満足度は格別だ。「楽しかった、また行きたい」という気持ちと商品の魅力が相乗効果となり、ブランドへの信頼感がアップした。時間と労力のかかる企画だが、ブランドの地盤は固まった。

 地方でのプロモーションには、都会の店のような洗練はないかもしれない。だが、手作りの特別感や作り手の個性を感じることができ、商品を売買するだけでなく、人対人の関係が生まれる。それは昔、各地にあった有力店のようだ。情報があふれかえるなか、消費者はその特別感を求めているのかもしれない。

(規)



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