《視点》ギーク

2018/08/29 06:24 更新


 無秩序で膨大な情報を分析し、意思決定者が合理的な判断を行えるようにサポートするのが、データサイエンティスト。AI(人工知能)の社会的役割が高まる中にあって、コンピューターやインターネット技術に精通し、深い知識を有する「ギーク」(おたく)が進化したデータサイエンティストが活躍の場を広げている。

 ギークはその原義である「グロテスクな芸を見せる見世物師」から転じて70年代にはコンピューター・マニアを指して使われていた。しかしこの十数年で、ギークの意味合いが大きく変貌(へんぼう)している。高い専門性を持った者に対する憧れを含む肯定的表現へと変化しているのだ。

 ファッション業界は長年、商品企画や在庫管理を「KDD」(勘・度胸・どんぶり勘定)に依拠するところが大きかった。しかし、AI活用が進展するなかで、データサイエンティストたちは市場変化や店頭販売、顧客心理の変化などのビッグデータを整理して、KDDの事業判断に対する、数値的根拠の裏付けを提示し、ときには事業計画の修正を提言する。AIが専門性を持った人材への注目を促し、新たな雇用を創出する事例だ。

(民)



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