《視点》トレンドの犠牲

2018/08/22 06:15 更新


 日焼け対策に綿や麻の長袖ブラウスが欲しいと思い、店頭であれこれ試着してみたがどうも似合わない。今年はボリュームスリーブで、肩周りにもタックが入ったふんわり広がるシルエットが多いため、見た目は可愛くてもがっしりかつ太って見える。肩幅のある自分には不利なトレンドのようだ。

 ショップ取材の際にはこんな話も聞いた。最近はスカートやワンピースは長めの丈がトレンドだが、小柄な女性にとっては「自分の体形に合う服がない」ため買い物に困っているというのだ。彼女たちはどこで服を買うのだろうか。あるいは今年は新作のスカートを買うのを見送ってしまうのだろうか。

 全方位的な品揃えがブランドにとって必ずしも良いこととは限らない。しかし、何かがはやって一斉に業界が右へならえをしてしまうと、結果的にそこから一定数の消費者がこぼれ落ちてしまうことがある。

 新しいトレンドを見つけることと同じくらい、〝トレンドだけど買わない理由〟や〝トレンドではないがニーズのあるもの〟に目を向けることも大切だ。

(石)



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