《視点》消去法ファッション

2018/08/17 06:15 更新


 夏服のコーディネートに行き詰まり感が出てくる8月。この酷暑で、服選びはますます難しくなった。「いかに快適に過ごせるか」の優先度が高くなったからだろう。通勤服はこれにTPOも加わって、がんじがらめになる。着ることができない服をクローゼットから除いていくと、残る選択肢は少なく、ベーシックになりがち。好きか、着たいかといった気持ちは、ずいぶん後回しになってしまったことに気づく。

 おしゃれなのはもちろん、風を通して涼しく、肌触りがさらっとしたものがいい。汗を吸って、すぐに乾いてほしい。汗じみは避けたい。洗濯機に放り込んでじゃぶじゃぶ洗いたい。暑くてアイロンがけが面倒になるから、しわになりにくいものが好ましい――。

 様々な市場で心地よい暮らしをかなえるアイテムが充実してきたからか、夏のファッションに求められる条件も高度になってきた。でも、それだけ〝着たい理由〟が作れるということでもある。消去法ファッションの満たされない気分を、日本企業が得意とする感性と快適性を両立した機能素材で変えられないだろうか。

(侑)



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