ブランドの流通在庫を仕入れ、小売業者に卸売りしたり、自社ブランドとして販売している会社がある。ここ数年扱い数量を大幅に伸ばしている同社は、「衣料品の流通在庫は1年間で40億点ほどある」と試算した。「廃棄処分に回る衣料品のうちブランド価値を維持して再販売のルートに回す」事業が評価されていると指摘する。
一方で「流通在庫の存在そのものが問題ではないか」と指摘するのが縫製企業。「過剰に生産して在庫を残す。過当競争で流通価格が下がる。在庫を廃棄すれば環境にも良くない。何も良いことがない」とし、その解決策を「全てオーダーにすべきではないか」と訴える。
流通在庫の問題は根が深い。流行と好みの幅が大きいファッション衣料は、できるだけ旬の商品を店頭で品揃えする。一方で繊維原料から順を追って物作りを行う衣料品は、「生産は前もって計画的に」が前提だ。このギャップを埋めるには流通在庫の存在が不可欠。ビッグデータを活用して個人別の商品を予測し計画生産とのギャップを埋める方策など、解決策は進み始めている。しかし根本的な解決には程遠いだろう。
(浅)