人はどんどん身軽になっている。世代間の違いはあるものの、身近なところでは時計や手帳、カメラはスマートフォンに置き換わりつつある。持ち物が減ればかばんの在り方も変わるのだろうか。支払いだって、世界でキャッシュレス経済圏が広がっている。ゆくゆくは生体認証がスタンダードになり、カードもなくなるかもしれない。
衣服では、男性のビジネススタイルとして芯地、裏地などを使ったかっちりとしたスーツはスタンダードではなくなってきた。そこそこのデザインなら仕事にも着て行ける。見た目がチープすぎなければ良く、それより着用感が快適で、くしゃくしゃにしてもしわになりにくいような使いやすさを求める消費者がマスになってきたのではないか。
とはいえ、衣服は今のところ「身に着けない」という選択肢はあり得ない。そこがスマートフォンに取り込まれてしまったカメラや時計とは違う。しかも、衣服の仕様が簡素化される一方、進化も続けている。ウェアラブル製品は時計型、眼鏡型もあるが、あるベンチャー企業の社長は「人が身に着けるモノで唯一残るのは衣服」として衣服型を選んだ。モノの役割を問い直し、未来の在り方を想像することの重要性を再認識している。
(嗣)