検品・修整の桑原は国内だけでなく海外にも拠点を広げ、海外は9カ国・24拠点を数える。その拠点には必ず日本人を駐在させ、45人が活躍中だ。海外の中でも最も早く進出した中国では、今年から中国側のパートナーに事業を譲渡した。桑原英寿社長は「今後のことを考えると経営は中国人に任せた方が良いから」と話す。中国の拠点にも日本人がいるのだが、中国語を話せる人を配置している。「ローカル企業とのやり取りが多く、中国語は必須」だからだ。
日本人を置くのは日本企業としての理念を浸透させ、管理を徹底するためで、高い能力が求められる。しかし、現地で多数の工員を雇用し、取引先との意思疎通をうまく運ぶには、現地の事情に精通したパートナーが不可欠だ。
最近、ベトナムやカンボジアからの報道で工場のストライキやデモの様子が伝えられている。国情やそこに暮らす人々の思いは数年間の駐在では理解し切れるものではないだろう。駐在員のレベルアップと、現地パートナーとの関係作りが海外戦略を左右する。
(近)