《視点》物作りが販売の原点

2018/06/29 06:23 更新


 かつて大手アパレルメーカーでゴルフウェア事業を立ち上げて旋風を巻き起こし、そのブランドは現在でもゴルフウェア業界で存在感を放っている。そうした実績を持つ彼は独立し、自らのリゾート・ゴルフカジュアルブランドを立ち上げて売り場に立っている。

 昔なら大企業の看板が外れても、業界に援助してくれる人がいて成功裏に事業を進められただろう。しかし今は違う。自身のファッション理念の実現を目指し孤軍奮闘する。

 「消費者が何を欲しがっているのかが分かるので、作った商品を丁寧に訴え、その良さを伝えると安心して購入してもらえる。商品の原点は販売にある」と語る。物作りに気を遣い、パターン、染色、生地、縫製工場・ミシンを選択する。でき上がった商品一点一点に刺繍や加工などディテール変化を加える。

 3、4月の忙しさは想像を超えた。必要な部材、資金、数量、納期など自分の想定通りに進まない。1人の力では困難を極めた。しかし、こうした作り込む努力が売り場に立つと販売への自信に変化する。アパレル業界では販売技術の向上が強く求められているが、商品を売るためにも、物作りの経験を経てこそ販売力向上につながると教えられる。

(稔)



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