《視点》子機という分業の要

2018/06/14 05:58 更新


 尾州産地の物作りを支えている「子機(こばた)」の存在に黄信号がともっている。子機とは企画と販売を担う親機から委託されて製織事業を行う機業場を指す。産地の縮小で子機の収入源である加工賃は減少。子機は従業員だけでなく後継者さえも失いつつある。このために子機は高齢化し毎年その社数を減らしているが、その減り方がここ数年急カーブになってきたという。

 尾州産地が生機(きばた)の生産を前倒したり、浜松や新潟など他産地で製織を行うケースが増えたのはこのためとされる。

 しかし子機縮小に代表される生産スペースの縮小は深刻で、産地の存亡にも関わるとささやかれる。打開策が産地に無いわけではない。このほど産地内に発足したションヘル織機研究部もその一つ。同研究部は産地に来た若手社員を育てるだけでなく、互いに交流して産地に定着することも狙う。

 産地分業によって尾州産地は多様な意匠素材を市場に送り出している。子機も産地分業に不可欠な存在であり、尾州産地の持ち味を維持するために子機があるのだと、もっとその存在に光を当てるべきだ。

(浅)




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