ファッション専門学校の性格は千差万別だが、しゃれている学校といえば桑沢デザイン研究所ではないだろうか。先日開かれた桑沢賞の授賞式では、そのエンターテインメント力に時間を忘れてしまった。
凝ったデザインの表彰状は何やら読みづらいようで八十島博明同窓会会長は、目を細めながら文章を読みあげる。その動きがおどけていて来場者の笑いが絶えない。司会を担当する卒業生のイラストレーター安齋肇氏は、受賞者をくすぐるような感想を挟みながら会を進行する。
アートディレクターの浅葉克己所長は、壇上から来場者に向かってパステルカラーのピンポン玉を飛ばしまくるという恒例の儀式で場を盛り上げる。もちろん、どれもしゃれていて、式は終始、ユーモアに包まれていた。
どうしたら楽しんでもらえるか、記憶に残る時間になるか。それもデザインの力を使って。そんなサービス精神が脈々と受け継がれてきたのだろう。学生の対応も堂に入っていた。それはファッションのみならず、クリエイティブを軸とするビジネスにおいて重要な課題でもある。シャイな日本人の苦手分野だが、これは必ず強みになる。
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