《視点》足袋からの転換

2018/06/08 05:55 更新


 ジーンズや学生服、ユニフォームなどの産地として知られている岡山県倉敷市の児島。岡山県産業労働部産業振興課が3月に発行した「おかやまのせんい vol 3―特集『岡山県学生服製造100年』」によると、児島は明治から大正時代ごろには足袋の産地であり、「今後学生服が伸びる」と目を付けた先人たちによって、足袋の裁断、縫製技術や販路を生かして広がっていったという。

 戦後に広がっていくジーンズにしても、もともと学生服やワーキングウェアを作っていた企業が手掛けていることから、児島では縫製という技術をコアとして事業を広げていった歴史が見て取れる。

 こうした事例で驚くのは都市部で起きた洋装化やジーンズの広がりという文化の変化をいち早く察知した先見性だ。また、その中でも特に縫製という技術にこだわって新しい事業を展開していった点も興味深い。ITが発展し、時代の大きな転換点となっている昨今。衣料品に限らずとも縫製という技術をもとにできることは、まだたくさんあるのではないか。過去の歴史を振り返ることで、気付くことも多いはずだ。

(騎)




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