業界の老舗企業の3代目、4代目の後継者を取材する機会が増えた。いずれも30代で前職は外資系コンサルタントや商社のほか高校教師、大学講師という経歴の人もいる。
大きな変革期のただ中にある経営環境にあって、各社とも従来の基幹事業だけでは業績の見通しはおぼつかない。事業を継ぐ決意をした彼らの共通の課題は、新規事業の立ち上げと既存事業の変革だ。
コンサルタントから転身した後継者は、今のファッションビジネスを「金融ビジネス的な側面がある」と言う。「ブランドポートフォリオを持つということ。有能なデザイナーに早い段階で投資をして育成する。ディレクションがビジネスとしての要諦(ようてい)」と言い切る。
教員としての経験を持つ後継者は「企業は人が要。当社も商品管理や業務改善の面でできていないことが多くある。これを嘆くよりも、伸び代として考える。教師として学生と向き合った経験が生きる」と前向きだ。
異業種での経験で培った視点が企業変革に生かされる。家業への強い思い入れを持ち、自らの次代への継承も視野に入れる変革者たちに期待したい。(民)