《視点》専門店セミナー

2018/01/26 04:00 更新


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 東京・新宿にある雑居ビルの一室で、〝専門店経営セミナー〟が開かれた。10人程入れば満員の狭い部屋には、関東近隣を中心に専門店オーナーたちが集まった。

 セミナーの冒頭、主催者に促されるかたちで各自、自己紹介が始まった。順番に参加者の発言が終わる度に、自然と拍手が起こった。その中で、うつ向き加減の30代の女性オーナーが「お客様の年齢層が異なる二つの店を、先代オーナーの親とすみ分けて運営していたが、数年前に親が引退して1店にまとめた。そのため品揃えが難しくなり…」と言いかけると肩が震え出した。そして搾り出すように「お店をやっていく上で、課題が分からなくなってしまって」と今にも泣き出しそうな声になった。

 するとセミナー主催者が「ここに来たことで、あなたはもう大丈夫ですよ」と力強く言い、ほかの参加者からの割れんばかりの拍手に包まれた。ほぼ全員が初対面にもかかわらず不思議な一体感があった。

 悩みを抱える専門店オーナー同士の共感の熱さとともに、それぞれの孤独の深さを感じた。各地域で孤立する専門店の悩みと経営ノウハウを共有する場が求められている。(民)



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